にきび(尋常性ざそう)
●にきび(尋常性ざそう)
ニキビは“青春のシンボル”ともいわれ、1つの毛包に脂腺がたくさんに開口している脂腺毛包を病変の場とする疾患で思春期になって脂腺が肥大し、皮脂がたくさん作られることが発症の引き金となります。額、頬部、口、あごなどの他に、胸や背中の中心部にもできます。
●原因
三つの因子が考えられ、第一は脂腺の肥大です。第二は毛包内に常在する細菌のプロピオニバクテリウムアクネス(ニキビ菌)です。第三は毛包開口部の角化をおこして閉塞し、毛包内部が角質の貯留により嚢腫状になり閉鎖面皰(コメド)が形成されることによります。
①脂腺の肥大
脂腺はテストステロンというホルモンの支配を受けています。男性では睾丸由来の、女性では副腎、卵巣由来のテストステロンが皮脂の産生を高めます。
女性で月経前後にニキビが悪化するのは、間接的なこのホルモンの分泌亢進によるものと思われます。脂腺で生成される皮脂の約60%は中性脂肪で、炭水化物からも生成されますので油っこいものばかりでなく、甘いものも食べ過ぎると、脂腺の肥大をきたします。
②アクネ菌(ニキビ菌)
毛包内で増殖したニキビ菌のもつ脂肪分解酵素(リパーゼ)が皮脂成分の中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を生成します。
また、ニキビ菌からは炎症にかかわる白血球を引き寄せる走化因子が分泌されます。この遊離脂肪酸と毛包周囲に引き寄せられた白血球により毛包壁が破壊され、毛包を中心に真皮内に炎症がおこります。炎症がさらに進展すると、毛包の中心が化膿した膿疱がみられます。
③閉鎖面皰の形成
コメドの状態は、微小面皰、閉鎖面皰、開放面皰に分けられます。
毛穴の中に埋もれた白色丘疹を閉鎖面皰(白色面皰)、毛穴の中に黒色物質を認めるものを開放面皰(黒色面皰)といい黒く見えるのは塵埃などが付着した状態です。
●治療方針
皮疹の重症度により、抗菌薬の外用療法、内服療法、漢方内服療法、アダパレン(ディフェリンゲル)外用、非ステロイド剤外用、イオウ製剤など組み合わせて行います。
●生活指導
一日2回の洗顔、バランスの良い食事、ノンコメドジェニックな化粧品を選ぶことなどが必要となります。厚化粧をすると毛孔が塞がり、毛孔内が低酸素状態になりますので、ニキビ菌が増殖してきます。ファンデーションを使ったときは、帰宅したら直ちに洗い落とすようにしましょう。ほおづえや手でニキビに触れる習慣もよくありません。二次感染を誘発して、皮疹を悪化させます。髪の毛もニキビに触れないようにしましょう。睡眠不足、イライラも因果関係ははっきりしませんが、悪化因子となります。睡眠や食事など規則正しい生活を送りましょう。